月100時間残業が「普通」だった居酒屋チェーン。「社会人なら残業は当たり前」と怒鳴られた私が退職代行で逃げ出した話

「タイムカードを定時で切らされて、そのあとも3時間は働くんです。店長に残業代のことを聞いたら『社会人なら残業は当たり前だろ、甘えるな』と怒鳴られました。あの言葉は今でも忘れられません」

— Aさん(26歳・女性)・飲食業(居酒屋チェーン)

「飲食の仕事が好き」——夢を持って入社した居酒屋チェーン

料理が好きで、人と話すのが好きだったAさんは、新卒で大手居酒屋チェーンに就職した。接客で笑顔をもらえることにやりがいを感じ、「ゆくゆくは店長になりたい」と思って張り切っていた。

最初の数ヶ月は研修も丁寧で、先輩スタッフとの関係も良好だった。「この会社でずっと働けたらいいな」と本気で思っていたと話す。

転機は入社半年を過ぎた頃、繁忙期の応援シフトに入り始めてからだった。1日12時間以上の勤務が当たり前になり、月の残業時間が80時間を超えるようになった。

タイムカードを「切らされ」た日から始まった二重生活

「うちの店は定時でタイムカードを切る決まりだから」と店長に言われ、Aさんは毎日定時にカードを打刻してから引き続き3〜4時間働き続けた。その時間は当然ながら給与に反映されない。

月の残業時間は公式には「0時間」。実態は100時間を超えていた。

「残業代のことを聞いたら、店長に『社会人なら残業は当たり前だろ。それが嫌なら飲食には向いてない』と怒鳴られました。反論できませんでした」

休日出勤も「ボランティア」として当然視され、断ると翌週のシフトを極端に減らされた。Aさんは経済的な不安から断れなかった。精神的な余裕が失われていくのが自分でもわかった。

8ヶ月が経った頃、Aさんは通勤途中に突然涙が止まらなくなった。体重は入社時から6kg落ちていた。

「辞めます」と言えなかった私が退職代行を知るまで

退職を申し出ようとしたが、「今辞めたら損害賠償を請求する」という店長の口癖が頭をよぎり、足がすくんだ。法的知識のなかったAさんはその言葉を信じていた。

深夜、スマホで「飲食 残業 逃げたい」と検索しているうち、退職代行サービスのサイトに行き着いた。「損害賠償の脅しはほぼ法的根拠がない」という記事を読んで、初めて自分が騙されていたと気づいた。

翌朝、LINEで退職代行に相談した。「明日から出社しなくていいです。すべて私たちが対応します」という一言で、ずっと張り詰めていた緊張の糸が切れた。

退職代行の翌日、8ヶ月の地獄が終わった

退職代行が会社に連絡を入れた翌日、Aさんは初めて罪悪感なしに目を覚ました。店長からの着信が3回あったが、担当者の指示通り出なかった。

退職後の交渉で、過去2年分の未払い残業代について労働基準監督署への申告を含めた交渉が行われた。最終的に約52万円が振り込まれた

現在Aさんは別の職種に転職し、毎日定時に帰れる環境で働いている。「あの8ヶ月は取り戻せないけど、逃げたことは正解だった」と話してくれた。

Aさんからのメッセージ

「タイムカードを切らされている人は今すぐ記録をつけてください。スマホのメモでも写真でも構いません。証拠があれば必ず取り戻せます。私みたいに8ヶ月も我慢しなくていい」

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