「数字が取れないなら人間じゃない」。不動産営業でパワハラを受け続けた28歳男性が、退職代行を使って会社と戦った話

「朝礼で全員の前に立たされて、『お前は今月も最下位だ。人間のクズだな』と言われたとき、頭が真っ白になりました。それが2年間、毎月続きました」

— Bさん(28歳・男性)・不動産業(賃貸・売買仲介)

「稼げる仕事がしたい」——成功を夢見て入った不動産業界

Bさんが不動産仲介会社に入社したのは26歳のとき。「営業力を身につけてインセンティブで稼ぎたい」という動機で、高い給与水準に惹かれて入社を決めた。

最初の3ヶ月は先輩に同行し、業界の慣習を学んだ。数字が厳しい世界だとはわかっていたが、それでも「自分ならやれる」と信じていた。

毎朝の「公開処刑」——ノルマ未達が続いた月から始まった地獄

入社4ヶ月目からノルマに届かない月が続いた。すると上司の態度が一変した。朝礼のたびに成績最下位者が全員の前で立たされ、罵倒される「公開処刑」が始まった。

「お前みたいな使えない奴が給料をもらうのは詐欺だ。恥ずかしくないのか」——それが毎朝、全員の前で繰り返された。

残業は月120時間を超えた。休日も電話で呼び出された。「数字が取れないのは努力が足りないから」という論理で、労働時間への疑問は封殺された。

Bさんは次第に眠れなくなり、出勤前に吐き気をもよおすようになった。病院では適応障害の診断が出た。

「これ以上傷つく必要はない」と気づいた夜

適応障害の診断書を手に入れた夜、Bさんは退職代行について調べた。「弁護士監修なら、会社のパワハラについても相談できるかもしれない」と思ったのが決め手だった。

翌日の朝、退職代行に依頼した。「本日より出社不要です。一切の連絡も私どもで対応します」という連絡を受けたとき、2年ぶりに深呼吸できた気がした。

退職後、会社からの謝罪文と慰謝料が届いた

退職代行の担当者が会社側と交渉した結果、パワハラの事実を認めた謝罪文と、慰謝料として30万円が振り込まれた。

Bさんは現在、IT企業の営業職に転職している。「ノルマはあるけど、怒鳴られたことは一度もない。当たり前のことが当たり前じゃなかった」と話す。

2年間蓄積した録音データが交渉の決め手になった。「何かおかしいと思ったときから記録する癖をつけてください」とBさんは言う。

Bさんからのメッセージ

「録音は正義です。スマホのボイスメモを常にポケットに入れておいてください。証拠があれば、あの地獄は取り戻せる財産になります」

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