「友人の結婚式に出るために有給申請書を出したら、店長が目の前でびりびりと破いたんです。『うちの店にそんなルールはない』と言って。あの音が今でも頭の中に残っています」
— Fさん(23歳・男性)・飲食業(ファミリーレストラン)
高卒で飲食業へ——「手に職をつけたい」が動機だった
高校卒業と同時に大手ファミリーレストランチェーンに入社したFさん。実家の経済事情から進学を断念し、「早く自立したい」という気持ちで飲食の道を選んだ。
最初の1年は先輩に恵まれ、接客の面白さを感じながら働けていた。しかし2年目に担当店舗の店長が交代してから、職場の空気が一変した。
破かれた申請書——3年間、有給は一日も使えなかった
入社1年が経ち有給が発生したFさんは、友人の結婚式出席のため申請書を提出した。店長は受け取るなり、その場で紙を縦に引き裂いた。
「うちの店にそんなルールはない。休みたければ自分でシフト交代を見つけてこい」
その後も体調不良・家族の冠婚葬祭・歯科受診、あらゆる理由での申請が却下された。3年間で有給取得日数は0日。消えた有給は55日分に上った。
退職を申し出ると「今辞めたら慰謝料を請求する」と言われた。法的知識がなかったFさんはその言葉を信じ込み、2年近く動けなかった。
深夜の帰り道、突然泣き止まらなくなった夜
シフト明けの深夜、自転車で帰る途中に突然涙が出た。「自分が何のために生きているのか、まったく分からなくなっていた」と振り返る。
その夜、スマホで「退職 脅された」と検索し退職代行を知った。「損害賠償の脅しには根拠がない」という説明で初めて自分が騙されていたと気づき、翌朝すぐに連絡した。
55日分の有給が、45万円になった
退職代行が交渉した結果、2年分の未消化有給について買い取り合意が成立し、約45万円が振り込まれた。
店長からの着信は2回あったが、担当者の指示通り無視した。
現在Fさんは別の飲食チェーンで勤務している。「有給を申請したら『どうぞ』と言われた。当たり前のことが、あの職場では当たり前じゃなかった」と話す。
Fさんからのメッセージ
「有給申請書は必ずコピーを取っておいてください。破かれても証拠として残ります。記録があれば、必ず取り戻せます」
