「食器の置き方が気に入らないという理由で、店長に「お前の存在自体がミスだ」と言われました。お客さんがいる前で。あの瞬間、何かが壊れた気がしました」
— Gさん(27歳・男性)・飲食業(ラーメン専門店チェーン)
「ラーメン一本で生きていく」——飲食の世界に憧れた青年
Gさんはラーメンが好きで、大学卒業後に迷わず飲食業を選んだ。最初の職場は個人のラーメン店で、親方のもとで修行した。その後、25歳でチェーン店に転職した。
チェーン店では調理の効率が求められ、最初は戸惑いもあったが半年で慣れた。しかし新しい店長が赴任してから、職場が一変した。
お客さんの前で罵倒——終わらないハラスメントの日々
新店長は完璧主義で、些細なミスを大声で怒鳴りつけることで有名だった。Gさんは特に目をつけられ、ランチの繁忙時でも客の前で怒鳴られることが日常になった。
「お前は頭が悪いのか。それとも態度が悪いのか。どっちにしろ、お前の存在自体がミスだな」——これが客席から丸聞こえの厨房で言われた言葉だ。
同僚たちも同様の扱いを受けていたが、誰も声を上げられなかった。「飲食はこんなもの」という空気が蔓延していた。
半年で体重が5kg落ち、休日も食欲がなくなった。鏡を見るのが怖くなった。
「飲食が嫌いになる前に逃げよう」
友人に相談すると「お前がおかしいんじゃなくて、その職場がおかしい」と言われた。その言葉で初めて「自分が正常だ」と思えた。
退職代行に相談したのはその翌日。「今月末じゃなく、明日から出社不要にできます」という言葉に驚いた。依頼した翌朝、Gさんはあの店に二度と行かなかった。
料理が嫌いになる前に逃げられた
退職後、Gさんは2ヶ月間休養を取った。料理をする気力が戻ってきたのは1ヶ月後。「あの店長が嫌いだっただけで、料理は好きだったんだ」と再確認できた。
現在は別のチェーン店でサブリーダーを任されている。残業代はきちんと支払われ、怒鳴られたことは一度もない。
「ハラスメントに慣れてしまう前に逃げることが大事です。慣れたら、それが普通だと思い込んでしまうから」
Gさんからのメッセージ
「ハラスメントを受けている人に言いたい。それはあなたのせいじゃない。その職場の問題です。好きな仕事が嫌いになる前に、逃げていい」
