「「今月は売上が悪いから、給料は来月まとめて払う」という電話が毎月来るんです。それが6ヶ月続いて、未払いが累計90万円を超えていました」
— Iさん(30歳・男性)・飲食業(個人経営イタリアン)
シェフを目指して入った個人イタリアン——当初は充実していた
料理専門学校を卒業後、Iさんは地元の評判店・個人経営のイタリアンレストランに就職した。オーナーシェフのもとで本格的な料理を学べる環境に満足していた。
給与は手渡しで、最初の1年は遅延もなく支払われた。しかし景気の変動で客足が落ちた頃から、オーナーの「今月は難しい」という言葉が増えていった。
「来月まとめて」が6ヶ月続き、未払いは90万円を超えた
「売上が回復したら必ず払う」という言葉を信じて待ち続けた。しかし払われない月が続き、3ヶ月目には貯金を切り崩して生活するようになった。
「お前のことは信頼してるから待ってくれ。裏切るつもりはない」——その言葉は本当だったかもしれない。でも未払い額は膨らみ続けた。
カードの支払いが滞り、電気代が払えない月もあった。「辞めたら未払い分も取り戻せなくなるのでは」という恐怖で動けなかった。
6ヶ月後、未払いの累計は月給の合計で90万円を超えた。オーナーは「もうすぐ払える」と言い続けた。
退職代行と労働基準監督署——二つの武器を知った
労働基準監督署に相談できることを知り、退職代行と組み合わせて動けることを担当者から説明された。「退職してから申告しても大丈夫です」という言葉で背中を押された。
退職代行が動いた翌日、Iさんは労働基準監督署に証拠(給与明細・通帳記録)を持参して相談した。
労基署の介入で、6ヶ月分の未払い給与が全額回収された
労働基準監督署の調査が入ったことで、オーナーは未払い給与90万円を全額分割払いで支払うことに合意した。
最終的に4ヶ月で全額回収が完了した。「信頼関係があったからこそ辛かった。でも、未払い給与は労働者の権利だった」とIさんは振り返る。
現在は別の飲食店に勤務し、給与は銀行振込で毎月正確に支払われている。
Iさんからのメッセージ
「未払い給与がある人は、必ず給与明細と通帳のコピーを取っておいてください。証拠があれば、労基署が動いてくれます。オーナーの「信頼してる」は証拠にはなりません」
