「毎朝吐いてから出社していた」。ITベンチャーで適応障害になった24歳エンジニアが退職代行を使った理由

「毎朝、会社に向かう電車の中で気分が悪くなって、トイレで吐いてから出社していました。それが3ヶ月続いていても、退職を切り出せなかった。怖くて」

— Dさん(24歳・男性)・IT業(Webサービス開発ベンチャー)

「スタートアップで世界を変える」——夢を持って入社した24歳の春

大学でプログラミングを学んだDさんは、新卒で従業員30名規模のITベンチャーに入社した。「成長スピードが速い環境で腕を磨きたい」という動機で、大手企業の内定を断っての入社だった。

最初の2ヶ月は刺激的だった。毎週新機能がリリースされ、エンジニアとして学ぶことが多かった。しかし3ヶ月目、チームのリードエンジニアが突然辞めた。

リードが抜けた穴を一人で埋めさせられた新人エンジニア

リードの退職後、Dさんは「お前が引き継げ」とCTOに言われた。入社3ヶ月、コードベースも把握しきれていない状態でのリード代行だった。

毎日の深夜残業、週末の緊急対応、チャットで飛んでくる叱責。「なんでこんなミスするんだ」「お前のせいでリリースが遅れてる」という言葉が毎日届いた。

「朝、電車に乗ると体が震えてくるんです。トイレで吐いてから会社に入る。それが習慣になっていました」

病院を受診すると適応障害の診断が出た。医師には「即刻休職か退職を」と言われたが、「自分が抜けたらシステムが止まる」という責任感と恐怖で、動けなかった。

「もう限界」——退職代行を使った朝

診断書をもらった夜、Dさんは退職代行について調べた。「出社不要、会社への連絡不要、即日退職可能」という説明に、信じられない気持ちと、すがりつきたい気持ちが混ざった。

翌朝、退職代行のLINEに「助けてください」とだけ送った。当日中に会社への通告が完了した。Dさんは二度とあの職場に行かなくてよくなった。

3ヶ月の療養で、エンジニアとしての自信が戻ってきた

退職後3ヶ月の療養を経て、Dさんは別のIT企業に転職した。今の会社では定時退社が基本で、残業は月10時間以下。朝に吐くことはもうない。

退職代行の費用は27,000円だった。「あの27,000円は人生で一番コスパの良い投資だった」とDさんは言う。

「早く逃げれば良かった。3ヶ月分の体のダメージと自己嫌悪は、取り戻すのに時間がかかった。心に症状が出たら、その日に逃げていい」

Dさんからのメッセージ

「毎朝吐いていたのに『自分が弱いだけだ』と思っていました。違います。それは体が限界のサインです。今すぐ逃げていい。逃げた先に、ちゃんと人生があります」

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